実印・銀行印・認印

最近は、官公署の手続きでも、押印は不要とする流れではありますが、依然として印鑑を使う場面があります。
私は公務員でしたが、やはり印鑑を使う場面は多かったです。

この印鑑は、その用途により、実印、銀行印、認印を区別して呼んでいます。

実印

「実印」は、市区町村に登録された印鑑を指します。

市区町村の役所窓口で印鑑の登録をすると、その印鑑は「実印」となり、証(あかし)として「印鑑登録証」が交付されます。

市区町村で印鑑の登録手続きができる人は、原則本人です。
つまり、実印と印鑑登録証を持っている人は、本人のみと想定されています。

書類の作成や内容の確認、承諾などを誰がしたのか、責任の所在を明らかにする目的などのため、書類に署名(記名)や押印をしますが、特に重要な契約書などの書類には、署名とともに実印の押印を求められます。

<補足>
「署名」は氏名を直筆で書いたもの、「記名」は氏名をパソコンによる印字やゴム印などで記したものです。
「記名欄」へ「署名」することは「記名」になりますが、「署名欄」に「記名」しても「署名」にはなりません。

そして、多くの場合、実印の押印とともに「印鑑登録証明書」を提出します。

「印鑑登録証明書」は、印鑑登録証により取得することができます。
最近はコンビニエンスストアなどでマイナンバーカードによる「印鑑登録証明書」の取得も可能となっています。
この印鑑登録証明書には、実印を登録した人の氏名や住所などの記載とともに、実印の印影(画像)も載っています。

印鑑登録証明書により、押印に使われた印鑑は市町村に登録されている実印であることを証明し、同時に印鑑を所有している人を明らかにするものです。

この印鑑登録証明書ですが、「印鑑登録証」さえあれば、市町村の窓口で誰でも取得できるため、その保管には注意しなければなりません。
例えば、実印と印鑑登録証は別な場所に保管するなどした方がいいです。

以上は、個人の実印に関する内容ですが、法人(会社)にも同様に実印があります。
法人の実印は、法務局で登録の手続きをし、印鑑証明書の取得もできます。

以下は、福岡市における印鑑登録についてのWebサイトですが、印鑑登録をする際は、お住まいの市区町村の役所の情報を確認してください。

福岡市役所ホームページ
福岡市 印鑑登録の申請(新規・変更・廃止) (fukuoka.lg.jp)

銀行印

銀行印は、銀行口座を作成する際に届け出た印鑑です。
窓口での預貯金の引出しや各種手続きに使います。

銀行印も通帳とは別々に保管した方がよいものです。
また、実印を含めて、印鑑に「●●銀行」と記載したシールを貼るなどして保管するのは、防犯上よくありません。
もしものときに備えて、通帳(口座)とその口座と印鑑を容易に一致させないようにするべきです。

認印

実印でも、銀行印でもない印鑑を認印(みとめいん)と呼んでいます。
配達物の受領印、行政手続での署名(記名)の側への押印など、署名代わりに押されることがあります。

最近は、さまざまな手続きにおいて、この認印を省略する場合が多くなってきています。

「契印」と「割印」

余談ですが、ページが複数枚になる書類の一連性を証明するために押印することを「契印」と言います。
そして、「ある書類」と「その書類のコピー」の関連性を証明するために押印することを「割印」と言います。

例えば、契約書A(5ページ)あった場合、契約書Aの5ページに渡り、印影が前後のページが重なるように押印することを「契印」、契約書Aと同じ内容の契約書B(写し)の表紙に印影が重なるように押印することを「割印」と言います。

「契印」のことを「割印」と言う人が結構多いです。
契印でも印影を割ったように押印することから、「割印」と言っています。
私も、長い間「契印」と「割印」を混同してました。

おわりに

以上、実印・銀行印・認印について解説しましたが、その区別は印鑑をどこで登録しているか、登録していないかによります。

防犯上、お勧めできない使い方ですが、
1つの印鑑を実印、銀行印として登録し、さらに認印として使いまわすこともできます。

実印や銀行印は、悪用されると甚大な被害を受けるおそれがあるものです。
保管場所は、印鑑登録証や通帳などとは一緒にしないなど、その保管にご注意ください。

ひぐち行政書士事務所