ベトナムの公共サービス(オンライン申請)

ベトナム国外からベトナムの公的な証明書を取得する方法の一つにオンラインによる申請方法があります。
このオンライン申請をするときは、ベトナムの公共サービスのWebサイトを使います。

私自身はベトナムに長期間在留したことはなく、またベトナムの公的な証明書を取得する機会もありませんが、公共サービスサイトを試しに見てみましたので、その感想を含めて書いていきます。

ベトナムの公共サービスサイト

ベトナムには、行政手続きなどの公共サービスについての情報を発信しているサイトがあります。
このサイトを見れば、手続の概要、処理日数、費用などがわかります。
各省庁間の情報が横断的に見れるため、(ベトナム語がわかる方には)便利なサイトだと思います。

サイトの名前は、
 Cổng Dịch Vụ Công Quốc gia
で、日本語に直訳すると「国家公共サービスゲート」になります。

ベトナム社会主義共和国 公共サービスサイト
Cổng Dịch vụ công Quốc gia (dichvucong.gov.vn)

各種証明書のオンライン申請をこのサイト上でしていきます。

手続きをするうえで、「VNeID」と呼ばれるベトナムの個人IDが必要です。
日本でいえばマイナンバーにあたるもので、「VNeID」を取得するためには住民登録が必要となります。

私は、ベトナムに長期間滞在したことはなく、この個人IDを持っていないため、公共サービスサイトによる申請手続きはできません。
しかし、申請をするにあたり必要な情報(必要書類や費用など)が網羅されているため、ベトナムの行政手続きを知るために非常に有益なサイトです。

今回、この公共サービスサイトを利用するにあたり、ベトナムの「犯罪経歴証明書」をオンライン申請することを想定してみてみました。

日本の犯罪経歴証明書

「犯罪経歴証明書」は、「渡航証明書」や「無犯罪証明書」とも呼ばれるものです。
外国に渡航する際の査証(ビザ)申請などで提出を求められることがあります。

日本では、都道府県の警察で申請を受理しています。
以下に福岡県警察の案内ページですが、申請にあたっては住んでいる都道府県の警察のホームページなどを確認してください。

福岡県警察ホームページ
福岡県警察 犯罪経歴証明書の申請手続きについて (pref.fukuoka.jp)

ベトナムの犯罪経歴証明書

以下、詳細な操作方法については省略しますが、公共サービスサイトを開くとホーム画面に「検索バー」が表示されます。
そこに検索したい、調べたいキーワードをベトナム語で打ち込みます。
ベトナム語で打ち込む必要があるため、外国人にとっては難しいです。
なお、「アルファベット」に対応しており「ベトナム文字」でなくても検索できます。

今回は、「犯罪経歴証明書」を調べたいので、ベトナム語で
 Phiếu lý lịch tư pháp
と打ち込みました。
ちなみに「Phiếu lý lịch tư pháp」は、直訳すると「司法履歴票」になります。

ベトナム語の話になりますが、法律用語が分からない場合、日本語で用語を調べるときと同様に、Googleなどの通常の検索で「犯罪がないことを証明する書面」と検索して、正式名称「犯罪経歴証明書」を調べます。
例えば、ベトナム語で「Giấy chứng minh không phạm tội」(犯罪をしていない証明書)などと検索すれば、各Webサイトの記事から「Phiếu lý lịch tư pháp」という用語が正式名称であることが分かります。

話を戻します。
公共サービスサイトのホーム画面の検索バーに「Phiếu lý lịch tư pháp」(犯罪経歴証明書)と打ち込み、検索すると、この用語に関係するページの検索結果が表示されます。
具体的には、15個の結果が表示されました。
上から、
「ベトナム国民、ベトナムに在留中の外国人に対する犯罪経歴証明書の交付」
「常居所などが確認できないベトナム国民、過去ベトナムに在留したことがある外国人に対する犯罪経歴証明書の交付」
・・・・・・・・
とベトナム語で表示されています。

ここから、当てはまる条件のところを選択します。
今回は「過去ベトナムに在留したことがある外国人」を選択しました。
選択したページには、
●手順の概要申請
●申請の方式・処理日数・費用・備考
●必要書類
などが記載されています。

過去にベトナムに在留していた外国人の犯罪経歴証明書の交付申請については、
対面申請、オンライン申請、郵送申請ともに、処理日数10日~15日、費用は20万ドン(約1200円)でした。

このように、調べたい手続について、検索できるのですが、ここから実際に申請の画面にどのように進めばよいのか初見では戸惑ってしまいました。

実は、その案内画面の右上にタブの枠が表示されており、そこには
Chọn cơ quan thực hiện
(処理機関の選択)
Bộ ngành(部門)
Bộ Tư pháp(司法省)
と自動で表示済で、そのすぐ下部に
「Đồng ý」(同意)
とあり、この「同意」をクリックすれば、申請手続きへ移行する、というものでした。

ここから先は、前述したベトナムの個人IDが必要なため、進めませんが、ベトナム語で指示された通りに入力を進め、申請書(Wordで様式有)データの添付、手数料の振り込みなどに進むようです。

おわりに

ベトナムの公共サービスサイトを試してみましたが、各省庁間の情報を横断的に検索ができて便利でした。

ただし、
ベトナム語の読み書きができないと申請をするのはかなり難しい
です。

まず、申請をするために最初の入り口であるWebサイトにアクセスする必要がありますが、こちらのサイトに英語版などの他言語版が見当たりませんでした(ベトナム語のみ)。
また、申請書の様式(Word)も申請者記入欄以外は全てベトナム語で記載されています。

サイト内の他言語版はなくても、ブラウザの翻訳ツールを使えばよいですが、訳出が不完全なところもあります。
ベトナム語が分からなくてもできないわけではなさそうですが、申請完了まではかなり難しいと思われます。

余談になりますが、ベトナム語を学習されている方が法律用語などを知るには公共サービスサイトは良い教材になるとも思いました。

ひぐち行政書士事務所