私がベトナム語を学んでいると知る方から、
「ベトナム語で、『私』、『あなた』、は何て言う?」
という質問を受けることがあります。
その回答として、「この『私』、『あなた』を表すベトナム語は、たくさんあります。」と説明するところから始まります。
特にベトナム語に興味もなく、質問をしてきた方への回答は、前置きの説明時間が少し掛かるため、毎回「どう説明しようか。」と少し悩ましいものです。
<補足> 「人称代名詞」とは、「私」や「あなた」、「彼」、「彼女」等の人を表す名詞のことです。 1人称は「私」、2人称は「あなた」、3人称は「彼・彼女」のことです。 |
人称代名詞『私』『あなた』の概要(1人称・2人称単数)
ベトナム語の『私』、『あなた』は、「私とあなた」二人の関係性により、複雑に変化します。
日本語でも同じことがあるので、わかりやすいとは思います。
日本語で会話する際、状況に応じて、『私』のことを「私」「俺」「僕」「兄さん」「姉さん」、『あなた』のことを「あなた」「君」「僕」「お兄さん」「お姉さん」などと使い分けするのと同じような感じです。
ベトナム語は、その変化がいつも忙しいという感じです。
ベトナム語の人称代名詞は、相手の性別や年齢、親密度等をより考慮して、個々の相手と話さなければなりません。
日本語には「わたし」や「~さん」という万能な言い方や主語を省いても失礼な言い方にならない点で、ベトナム語ほど気にする必要はないかもしれません。
(日本語の場合、相手の名前が思い出せないときに「~さん」と呼べず、また「あなた」というのもよそよそしいときは、ベトナム語の方が楽なのですが)
なお、ベトナム語には、英語の『I』と同じく、『私』だけを表す『Tôi』(トイ)という表現がありますが、これがよそよそしい表現になるため、おそらくベトナム語を学ぶことはないだろうという人へ教えづらいところがあります。
そして、一番困るのが『あなた』という表現です。
ベトナム語には『あなた』だけを表す単語がないため、「コレを使ってください!」というものがありません。
繰り返しになりますが、『あなた』は相手との関係性によって、ベトナム語で「兄さん」「姉さん」「おじさん」「おばさん」「君」「友」・・・と変わっていくからです。
ベトナム語の有名なフレーズで、日本語の「おはようございます。」「こんにちは。」「こんばんは。」に当たる
『Xin chào』(シン チャオ)
という挨拶がありますが、誰か特定の相手に向けた挨拶の際は、
『Chào (『あなた』を表すベトナム語)』
と言うのが一般的です。
自分から見て相手にふさわしい『あなた』を当てはめて言います。
そういった事情もあり、『あなた』は「コレです。」と教えることができません。
ベトナム語の挨拶のみを知りたい方へは
『Xin chào』(シン チャオ)
のみを教えてしまいます。。。
おわりに
ベトナム語は、日本人にとって、なかなか難しいところがあります。
しかし、日本に来た外国人(ベトナム人)にとって、他国の人が、母国や母国語について興味を持って話をしてくれることは、一般的にはうれしいものです。
ぜひ、ほんの少しでもベトナム語を知っていただけたらと思います。
本記事がその参考に少しでもお役に立てれば幸いです。