
告訴状・告発状に記載しなければならない項目として、告訴事実・告発事実があります。
この告訴事実・告発事実は、告訴・告発する罪によって書く内容が異なってきます。
少し難しい言い方をすると、「犯罪を特定すること」と「犯罪の構成要件を満たすこと」に配意して書かなければなりません。
ここでは、告訴事実・告発事実を書く際に基本となる『六何の原則』(ろっかの原則)について解説します。
六何の原則
「六何の原則」とは、「6何」のとおり、6つの「何?」について、記載することを原則とするものです。
告訴・告発における「六何の原則」とは多少異なりますが、一般的な「六何の原則」は「5W1H」とも言われ、文章を分かりやすく書くために使われるものです。
【when(いつ)、where(どこで)、who(誰が)、what(何を)、why(なぜ)、how(どのように)】の頭文字から「5W1H」と呼ばれています。
告訴・告発の話に戻ります。
告訴・告発の事実は、基本的に、「六何の原則」を使い、日時・場所、被害者、被害にあったもの、行為の方法等を特定します。
告訴・告発の事実における「六何の原則」は、
「だれが」「いつ」「どこで」「何を(or 誰に対し)」「どんな方法で」「何をした」
であり、基本的にこの並びで記載していきます。(告訴事実・告発事実の内容によって変わります。)
また告訴・告発する罪の内容によっては、「なぜ」(動機・原因)や「だれと」(他者の存在)を記載することもあります。
以下は、基本的な「六何」についてです。
「だれが」
「被告訴人」「被告発人」がこの「だれが」にあたります。
被告訴人・被告発人は、訴えたい相手のことです。
告訴人・告発人は、告訴・告発をする人になります。
通常、告訴事実・告発事実は、
「被告訴人は、・・・」
「被告発人は、・・・」
と記載します。
なお、被告訴人・被告発人は、通常、
氏名、生年月日、年齢、職業、住居など
により特定し、告訴状・告発状に記載します。
「被告訴人は、・・・」という書き出しで始まるのが一般的です。
よって、文章の途中で主語(被告訴人・被告発人)が変わらないように注意して記載しなければなりません。
「いつ」
日時を特定します。
「令和●年●月●日」のように年月日を記載したりします。
「日付」が特定できない場合は、「令和●年●月●日ころ」という書き方や「令和●年●月●日ころから同年●月●日までの間」という書き方をする場合などもあります。
また、何時何分という時間を特定する場合は、「「令和●年●月●日午前(後)●時●分」や「・・・午前(後)●時●分ころ」、「・・・●時●分ころから●時●分ころまでの間」などと記載します。
また、日時の特定がどこまで記載するかは、告訴事実・告発事実などによっても変わってきます。
「どこで」
場所を特定します。
通常、「●県●市●区●●○丁目○番○号●●●において」などと記載します。
場所の特定についても、日時の特定と同じく、詳細が明らかでなければ「~付近」「~市内」などと記載します。
また、告訴・告発の事実によっても、どこまで場所を特定すべきかが変わってきます。
「何を・誰に対し」
告訴・告発の事実の客体です。
被害品や被害者がこれにあたります。
一般的に、被害品が複数であれば、主要なものをいくつか挙げ、その他のものは数量を記載します。
「●●所有に係る現金●●円及び●●カードほか(数量)点」
のように記載します。
被害者であれば、その氏名を記載します。
また、告訴・告発の事実によっては、
被害品の価格や被害者の当時の年齢など
を記載します。
「どんな方法で」「なにをした」
「どんな方法で」は、手段・方法のことで、「何をした」は、行為・結果のことです。
どのような行為が犯罪にあたるかは、法律において規定されています。
その法律上犯罪にあたるとして特定された行為の類型を構成要件といいます。
告訴・告発の事実を書く際は、この犯罪の構成要件に配意しつつ、実際に起きたことを整理して、記載していく必要があります。
その他
例えば、法律で犯罪の成立しない場合を挙げている場合があります。
もし『「正当な理由なく」、その行為をしてはならない。」と法律で規定されている場合は、
『「正当な理由があれば」、その犯罪は成立しない』
ということになります。
そのため、「正当な理由がない」のであれば、それを明らかにするために
「正当な理由がないにもかかわらず」
などと記載する必要があります。
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