在留資格「永住者」の特徴

昨今、「外国人との共生社会」に向けた施策など、日本に在留する外国人に関する話題や活動が注目を集めています。日本に在留する外国人は、原則、何らかの在留資格を持って日本に住んでいます。
在留資格は、日常会話では「ビザ(VISA)」と呼ばれているものです。
(VISAは、正確には「査証」を意味する英語であり、本来在留資格とは異なるものではあります。)
この在留資格は、ある意味、外国人にとって日本に在留する理由を反映した合法な在留の根拠となるとても重要なものです。
この外国人にとって必要不可欠な在留資格について、何となくイメージはつくけれども、よくは知らないという日本人は多いと思います。

ごく限られた例ですが、在留資格について、よく知らなかった日本人が知り合いの外国人を助けようという気持ちからした助言や行動が、結果、法律に違反することであったという場合があります。
具体的には、副業が禁止されている在留資格であるにも関わらず、日本人が良かれと思い仕事を紹介し、その外国人が資格外活動違反をするというものです。日本人も資格外活動を助けた罪に問われます。

日本に住む外国人がどのような在留資格を持っているのか、またその在留資格はどのような人に許可がされているのかを知ることは、重要なことだと思います。

本記事は、在留資格「永住者」が他の在留資格に比べてどのような特徴を持つのかについて解説しました。
日本の「永住者」とはどういうものなのか、少しでも知っていただければと思います。

在留資格「永住者」の特徴

在留資格「永住者」は、その他の在留資格と比べた際に、大きな特徴として

● 就労制限がないこと
● 在留期間の更新申請をしなくてよいこと

があります。

就労制限がない

「就労制限がない」ことを分かりやすく説明するために、「就労制限がある」ことについて説明をします。
一般的に会社員として働く際に必要な在留資格は「技術・人文知識・国際業務」略して「技人国(ぎじんこく)」や「技能」、「特定技能」などです。これらはまとめて「就労系の在留資格」となります。
これら就労系在留資格は、原則、副業が禁止されていたり、風俗営業関連への就労が禁止されていたりするなど、個々の在留資格によって、一定の就労制限があります。
また、非就労系在留資格である「留学」は、元々就労が認められない在留資格ではあります。
(在留資格「留学」は、資格外活動許可を受けることにより、週28時間以内の就労などが認められます。「資格外活動」とは、「本来の在留資格で認められた活動以外の活動」のことをいい、「資格外活動許可」を受けることによって、本来の在留資格では認められない活動が合法的にできます。)

このように、一般的に外国人は、国からの許可を受けずに自由に転職をしたり、自身の好きなときに事業を始めたりすることはできません。(個々の在留資格により違いはあります。)
つまり、就労制限があることが多い在留資格のなかで、「永住者」の在留資格は就労制限がない、数少ない在留資格の一つです。
(就労制限がない在留資格は他にも「定住者」「日本人の配偶者等」などがあります。)

在留期間の更新申請をしなくてよい

ほとんどの在留資格には、「在留期間」と呼ばれる、合法的に日本に在留することができる期間が定められています。

在留期間は、在留カードに記載されており、
在留期間(満了日) 1年(2024年12月25日)
などと記載されています。
上記の例でいえば、2024年12月25日までに在留期間の更新等をしなければ、2024年12月26日以降は不法に日本に在留することになります。
(※在留期間内に在留資格変更許可・更新許可申請等をした場合、この在留期間は延長され合法に在留することができます。つまり、在留カードに記載されている在留期間と実際の在留期間が一致しないことがあります。)

この在留期間は、法令により、在留資格ごとに指定される期間が定められています。
具体的には、「出入国管理及び難民認定法施行規則」に定められています。
例えば、会社を経営することなどを目的とする在留資格「経営・管理」は、「5年、3年、1年、6月又は3月」のなかから期間が指定されます。
この「経営・管理」の在留期間ですが、その会社の経営状況等が良好であれば、その会社を経営する外国人に付与される在留期間は長い期間が指定され、逆に、経営状況が悪い場合は、短い期間を指定される傾向があります。
このように、在留資格ごとに在留期間が定められており、さらに個人の在留状況等により、在留期間が決定されます。(同じ在留資格でも個人により付与される在留期間の差があります。)

もし毎回付与される在留期間が1年であれば、毎年更新をしなければならないことになり、その度に申請が許可されるのかという不安とともに、申請手続に時間等を費やさなければなりません。

さらに「在留期間」は在留資格「永住者」の申請をする際の要件に関係します。
在留資格「永住者」の申請をするためには、各在留資格において最長の期間を付与されている外国人でなければ、要件を満たしません。
上記に書いた在留資格「経営・管理」であれば、「5年」が最長の期間にあたります。
(※現在、「3年」以上の在留期間が付与されていれば、要件を充足しているとみなされています。)

以上のように、「在留期間」は外国人にとって、大きな関心があり、大変重要なものです。

その在留期間は、在留資格「永住者」であれば、更新申請の必要がなくなります。
(その他、在留期間が無期限の在留資格に「高度専門職2号」があります。)

なお、「永住者」の在留資格は、在留期間の更新の必要はありませんが、在留カードの更新申請はする必要があります(交付日から7年という有効期間があります。)。

<参考>
令和6年の出入国管理及び難民認定法(入管法)改正により、在留資格「永住者」(18歳未満を除く。)の在留カードの有効期間は、交付日後の10回目の誕生日までとなりました。(公布日:令和6年6月21日、施行日:公布日から2年以内)

おわりに

「永住者」は、就労制限がなく、在留期間も無制限であり、他の在留資格と比較しても分かるとおり、特別な在留資格です。
また、一般的に在留資格を変更する場合、例えば「留学生」から「会社経営者」となる際は、在留資格「留学」から在留資格「経営・管理」への変更というように、日本における活動の目的の変更にともない、在留資格Aから在留資格Bへ在留資格変更許可申請を行います。
在留資格Bの許可を受け、はじめて在留資格Bの活動ができるようになります。

しかし、「永住者」の許可申請の場合は、現在持っている在留資格からの「永住」許可申請となります。
そのため、「永住者」として認められなければ、現行の在留資格で引き続き活動を継続することになります。(申請中も現行の在留資格での活動となります。)

以上、在留資格「永住者」の特徴について解説しました。
日本に住む外国人について、少し詳しく知りたかった方や共生活動に関心がある方の参考となればと思います。

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