住居地の届出義務
日本へ旅行などのために来日する短期滞在者などの一部の外国人を除き、日本に住む外国人は「住居地の届出」をしなければなりません。
運転免許証の住所の書換えのように、在留カードの住所の書換えをしなければなりません。
住居地の届出は義務です。
<補足> 外交官などの一部の外国人を除き、「住民基本台帳制度」の対象となる外国人は、「住居地の届出」義務が課されています。 |
日本に在留している間は、自身の住所を市役所等へ届け出なければなりません。
初めて日本へ入国した後、自分が住む場所は市役所等へ届出をしなければなりませんが、その後、引越しなどで住所が変わるときにも必ず届出をしなければなりません。
<補足> 初めて日本に入国した際は、空港等で在留カードを渡されるか、パスポートに「後日在留カードを交付する」旨の記載がされます。新規に入国した外国人は、それらを市区町村へ持って行き住居地の届出をします。 引越しの場合は、引越し前の市区町村へ転出届を行い、転出証明書をもらいます。その転出証明書とともに引越し先の市区町村へ転入届をします。 なお、同じ市区町村内での引越しであれば、転居届を提出しなければなりません。 |
住居地を市役所等へ届出した場合、その住所情報は出入国在留管理庁(入管)へ通知されるため、入管に改めて住居地の届出をする必要はありません。
つまり、市役所等のデータ、入管のデータ、在留カードに記載してある住所が一致することになります。
なお、新規に入国した後に行う住居地の届出は「住居地を定めた日から14日以内」、引越しなどで住所が変わった際は「新住居地に移転した日から14日以内」にする必要があります。
住居地の届出をしないことは、義務違反であり、在留資格の取消しの対象となったり、罰則があります。
また、在留資格の変更・更新時の審査において不利益な材料として扱われるなど、良いことはありません。
<補足> 「新規上陸後に上陸の日から90日以内」、「引越し前に住んでいた住居を退去した日から90日以内」に正当な理由なく実際の住居地を届け出なければ在留資格が取り消される可能性があります。虚偽の住居地を届け出ることも在留資格取消事由です。 |
「住居地の届出」と「所在不明者」
就労・就学先などから無断で離れた「所在不明者」と呼ばれる人がいます。
そのような人たちは、もともとの就労先や入管などから所在がバレないように「住居地の届出」もしません。
また、「所在不明者」のなかには、「在留期間」は残っているが「本来の在留資格で決められた活動を行っていない」人もいます。
例えば、在留資格「留学」で在留する留学生が学校に通っていないなどです。
<補足> 「本来の在留資格で決められた活動」を一定期間行わないことは、在留資格取消しの対象となります。 |
そのような所在不明者が本来いるべき住居地から離れ、他の場所で就労しようとする場合があります。
例えば、「在留期間」は残っており、「留学」の在留資格で「資格外活動許可」を受けている留学生が、本来いるべき地域とは遠く離れた場所でアルバイトをするなどです。
「資格外活動許可」は、本来の在留資格(留学)の活動をしっかり行うことを前提条件のうえで、資格外活動(アルバイト)が許可されていることから、特別な事情がない限り、本来いるべき場所を離れてアルバイトをする者は「所在不明者」で「資格外活動」(犯罪)をしている可能性があります。
「資格外活動」は本人が処罰されるだけでなく、雇用した側も「不法就労助長罪」等の罪に問われます。
外国人をアルバイトとして雇用する際は、在留カードの「住居地」に不審点がないか確認する必要があります。
<補足> 上記は所在不明者のケースです。 一般的な転居を伴う転職の場合は、転居後(雇用開始後)に本人等が「住居地の届出」をします。 |
おわりに
日本に住む外国人は、一部を除き、「住居地の届出」の義務が課されています。
この届出を怠ることは、処罰の対象となるだけでなく、在留状況の評価(不良外国人ではないかなどの評価)にも影響を与えるものになりますので、確実に届出を行う必要があります。